◎交通事故後、治療費を打ち切ると言われた方へ
- ○ 交通事故後、通院していたら保険会社から「そろそろ治療は終了しましょう」と言われた
- ○ 保険会社が「症状固定」と言ってきた
- ○ 「このまま通院するなら、治療費を打ち切る」と言われた
- ○ 現実に治療費を打ち切られてしまい、高額な診療費がかかるので困っている
上記のような状況にあるならば、まずは山口の弁護士までご相談ください。適切な対処方法をアドバイスいたします。
1.通院期間が長引くと、保険会社が治療費を打ち切る
交通事故後、病院で治療を受けるときには加害者の保険会社が治療費を立て替え払いしてくれることが多いです。
その場合、被害者が病院の窓口で治療費を支払う必要はありません。
しかし通院期間が長引いてくると、加害者の保険会社が治療費の支払いを打ち切ろうとすることがあります。
たとえば「そろそろ治療は終わって示談交渉を始めましょう」「症状固定して後遺障害の手続きをしましょう」などと言われます。
それでも被害者が治療を継続しようとすると、保険会社が一方的に治療費を打ち切ってしまいます。
そうなると、病院の窓口で被害者自身が治療費を負担しなければなりません。
治療費を途中で打ち切られた場合、健康保険を使わない場合には自由診療となって診療費が高額になりますし、自分で治療費を立て替える必要があるので、被害者の負担は重くなってしまいます。
2.保険会社が治療費を打ち切る理由
当初は治療費を支払ってくれていたにもかかわらず、どうして相手の保険会社は途中で治療費の支払いを打ち切ってしまうのでしょうか?
それは、保険会社が被害者に支払う治療費や慰謝料を減額するためである可能性があります。
被害者が通院を継続するとその分治療費がかさんでいきます。
また、入通院慰謝料は治療期間が長くなるとその分高額になるので、被害者の通院期間が長くなると、加害者の保険会社の負担額が増えます。
保険会社は、なるべく負担を小さくしたいと考えています。そこで、早めに治療を終えるよう被害者にプレッシャーをかけてきたり、実際に治療費を打ち切ってきたりするのです。
なお、必要ないのに慰謝料を増額させるために治療を継続する交通事故被害者もいるので、そういった問題事案へ対処する意味もあります。
3.治療費を打ち切られても通院を辞めてはいけない
被害者の立場としては、保険会社から治療費支払いを打ち切られたとしても、通院治療を止めるべきではありません。
3-1.治療は症状固定するまで継続する
症状固定とは、それ以上治療を継続しても症状が改善しなくなった状態です。
症状固定したかどうかについては医師が判断しますので、相手の保険会社が「症状固定」と言ってきても従う必要はありません。
また、症状固定前に治療を止めると、以下のようなデメリットが生じる可能性があります。
3-2.治療が中途半端になって障害が残る
相手の保険会社が治療費を打ち切るタイミングは、必ずしも治療が終了したタイミングではありません。
まだ治療によって症状が改善する可能性がある状態でも打ち切りが行われます。
このようなとき、相手の言うままに治療を止めると必要な治療を受けられない結果になってしまいます。
すると、治るものも治らず後遺障害が残ってしまう可能性がありますし、不自由を感じながら一生生活していかねばならないリスクも生じてしまいます。
3-3.将来治療費が自腹になる
いったん保険会社が治療費を打ち切り、症状固定にしてしまったら、その後に「やっぱり治療を受けたい」と言っても治療費を請求できません。
いったん症状固定した後の将来治療費については、基本的に被害者の自己負担となるからです。
もしも治療費を打ち切られても症状固定せずに通院を継続していれば、自分で立て替えた病院の治療費を後に保険会社に請求することができます。
これと比べると治療の早期打ち切りは大きな不利益となります。
3-4.賠償金が減額される
治療費を打ち切られたときに通院を止めると、その時点までの治療費や入通院慰謝料しか支払われないので、本来受け取れる金額よりも賠償金が減額されてしまいます。
3-5.後遺障害認定も受けにくくなる可能性がある
むちうちなどで、交通事故後6か月経たない間に早期に治療を打ち切ってしまうと、後遺障害認定を受けられない可能性が高くなります。
たとえば慢性的に肩や首、背中などの痛みやしびれが発生して苦しんでいても、治療を打ち切ってしまったが故に後遺障害に関する慰謝料や逸失利益を支払ってもらえなくなるので、大きな不利益となります。
4.治療費を打ちきられたときの対処方法
交通事故後の通院中、加害者の保険会社から治療費を打ち切られたら、以下のように対応しましょう。
4-1.健康保険を利用する
1つは、健康保険を利用して通院を継続する方法です。
交通事故後の通院治療には健康保険が適用されないと思われているケースがありますが、実際にはそういった制限はありません。
加入している健康保険組合(社会保険の場合)や市町村(国民健康保険の場合)に「第三者行為による傷病届」という書類を提出して、健康保険証を病院に提示しましょう。
そうすると、保険診療を適用してもらえますし、負担割合も1~3割(多くのケースでは3割)に減額されます。
ただ、病院によっては「交通事故患者には健康保険を適用しない」と言うこともあります。
病院で健康保険の適用を否定されたら、「第三者行為による傷病届」の写しを示すなどして「健康保険を適用できない理由がない」と言って交渉しますが、それでも受け入れられないなら、転院を検討した方が良いでしょう。
交通事故患者に健康保険を適用できる病院はたくさんあるので、適用してもらえない病院に固執する必要はありません。
4-2.労災保険を利用する
もう1つは、労災保険を利用する方法です。
業務中や通退勤の途中で交通事故に遭った場合には、労災保険を適用できる可能性があるからです。
労災保険の「療養補償給付」を受けられたら、労災保険から全額の治療費を支払ってもらうことができます。
労災保険の場合、被害者には自己負担がありませんし、支給金の限度額もないので安心して必要なだけ通院を継続できます。
なお、労災保険は交通事故当初から利用することが可能です。
初めから労災保険を適用しておけば、相手の保険会社から治療費の打ち切りに遭うこともないので、業務中や通勤の途中の交通事故の場合には、当初から労災を申請して労災保険の適用を受けておくのも1つの対処方法となります。
5.治療費は後から相手に請求できる
健康保険を利用して通院を継続した場合、被害者に自己負担額が発生します。
これについては、後に加害者に請求できる可能性がありますので、いくら支払ったのか分かるように、領収証や診療明細書はきちんと全部保管しておきましょう。
示談交渉の際に相手に示せば合計額の支払いを受けられます。
以上が交通事故で治療費打ち切りに遭った場合の対処方法です。山口で交通事故に遭って治療費の打ち切りに遭って対応に困っておられるなら、お気軽に弁護士までご相談ください。