船舶・海に関する事故について |山口県の交通事故のご相談は弁護士法人牛見総合法律事務所

山口県の交通事故のご相談は弁護士法人牛見総合法律事務所。山口交通事故相談の受付は9時〜20時(平日・土日祝)
平日:9時~12時、13時~17時(要予約)
船舶・海に関する事故について
HOME >  船舶・海に関する事故について

◎船舶・海に関する事故について

山口県は、大きな港も多く、海洋業の盛んな地域です。
海難事故や船舶事故が発生するケースもありますが、そのようなとき、誰にどのような賠償請求が可能となるのでしょうか?
今回は海難事故や船舶事故解決の流れや適切な対処方法について、山口の弁護士が解説します。

1.海難事故、船舶事故とは

海難事故、船舶事故とは、海洋上で船同士が接触、衝突したり難破したり行方不明になったりする事故です。
大規模なものから小規模なものまでさまざまなケースがあります。
当事者もいろいろで、フェリーやタンカー、客船などの大型船が当事者となることもありますし、小さな漁船が当事者となるケースもあります。
以下のようなものが典型的な海難事故(船舶事故)です。
  • ○ 座礁
  • ○ 衝突
  • ○ 火災
  • ○ 機関や舵の故障、漂流
  • ○ 船内への浸水
  • ○ 船体の傾斜(荷崩れなど)
小さな事故であればお互いに話合いをして簡単に解決することも可能ですが、大きな海難・船舶事故となると損害額も莫大になりますし、外国籍の船が相手になる場合などには、さらに手続きが難しくなります。
また、一般の交通事故などの事件とは異なる特殊な対応が必要となるケースもあります。

2.海難事故で請求できる賠償金

海難事故が発生したときには、以下のような損害賠償が可能となります。

船の修理費用

船が衝突などによって破損すると、修理費用を請求できます。船が全損した場合には、時価による賠償が認められます。

積荷損害

船には多くの荷物を載せていることが多いです。そのような場合、積荷が失われたり毀損されたりしたことについての損害賠償を請求できます。

営業利益の損害

船が壊れたり人員が死傷したりしたことにより、所有者や船会社に営業損失が発生すれば、その損害についても請求可能です。

乗組員の人身損害

乗組員がけがをしたり死亡したりすると、治療費や休業損害、慰謝料や逸失利益などの各種の人身損害が発生します。このような損害についての賠償金も、相手に請求可能です。

3.海難事故で損害賠償請求を行う相手方

海難事故や船舶事故が発生した場合、誰に損害賠償請求ができるのでしょうか?
この場合、誰の故意や過失によって事故が発生したのかにより、請求相手が異なります。
たとえば、相手の船の乗組員の過失が原因の事故の場合にはその乗組員となりますし、整備士の過失によって事故が発生したのであれば整備士に損害賠償請求が可能です。
船長による指示や監督に問題があったら船長が相手方となります。
相手の船の船長や乗組員、整備士などの直接の不法行為者が船会社に雇用されている場合には、雇用主に使用者責任が発生するので、会社に対して損害賠償請求できます。
相手の船が日本籍の場合には、相手が保険に加入していることが多いので、その場合には保険会社に賠償金を請求します。
なお海難事故には「船主責任制限法」という法律が適用されるので、船長などの個人の責任が制限される可能性もあります。

4.海難事故の解決の流れ

海難事故が発生したときには、以下のような流れで解決を目指します。

4-1.乗組員からの事情聴取

まずは乗組員から事故が発生したときの事情を聴取します。

4-2.書類や記録の収集、保全

その後、積荷の状況、船に関する資料、事故に至る経緯や事故状況を示す資料などの証拠を集めて保全します。

4-3.保証状を取り付ける

海難事故では「保証状」を取り付けるべきケースがあります。保証状とは、一定の損害賠償を相手の保険会社などの保証機関に保証してもらうための書類です。保証状には 以下のような事柄が書かれています。
○ 支払限度額
予想される損害賠償金の限度額や、そこに利息を含むかどうか
○ 準拠法
どの国の法律によって判断するか
○ 裁判管轄
どこの裁判所で訴訟をするか
双方が保険に加入している場合には、お互いに保険会社が発行した保証状を交換します。

4-4.相手船を差し押さえる

相手が保険に入っていない場合や資力がない場合、保証状を出さない場合など、将来損害賠償金の支払いを受けられない可能性が高い場合には、先に相手の船を差し押さえることによって回収の可能性を担保する必要があります。
相手が外国船でこちらが保証状を出さないと、相手の方からこちらの船を差し押さえようとしてくることもあるので注意が必要です。

4-5.示談交渉

当方に発生した損害と相手に発生した損害の算定、双方の過失割合などを検討し、相手と示談交渉を進めます。示談によって解決できたら示談書を作成して、賠償金の支払いを受けます。

4-6.海難審判

海難事故が発生すると「海難審判」という特殊な審判手続が行われます。 海難審判とは、海難事故を起こした船長や機関長など、海技免許をもった乗組員や水先人に対する責任追及の行政手続きです。
関係者に対する勧告や戒告、懲戒などが決定されます。「裁判所」ではなく、国土交通省の管轄の「海難審判所」が審理と判断を行います。
海難審判を代理できるのは「海事補佐人」か「弁護士」ですが、審判の結果(裁決)が後の民事訴訟や刑事裁判に影響を及ぼすこともあるので、なるべく早期に弁護士に依頼することをお勧めします。
また裁決に不服がある場合には、東京高等裁判所において、海難審判所長を相手に訴訟をすることによって取消を求めることも可能です。

4-7.訴訟

相手との示談交渉が決裂したときには、事故の相手方に対して損害賠償請求訴訟を起こし、司法の場で最終的な損害賠償額や責任の有無内容を決定してもらうことが可能です。
相手が外国籍などの場合、裁判所や適用される法律は、先の「保証状」の内容によって決まります。
裁判所の判断は終局的なものとなるので、不服があっても他機関に訴え出ることはできません。

5.海難事故への対処方法について

海難事故や船舶事故が起こったとき、損害賠償金額が莫大になることもあって、話合いでは決着できないことがあります。
海難審判や訴訟となると、相当に専門的な対応が必要ですし、相手が保険に入っていない場合、いち早く差押えなどを行うべき必要性も高くなります。
海難事故や船舶事故でなるべく適切に解決するには弁護士によるサポートが必要です。お困りの場合には、お早めに山口の弁護士にご相談ください。
ご相談
弁護士法人牛見総合法律事務所へのLINEからのお問い合わせ
サービスご案内・事務所情報
交通事故の基礎知識
後遺障害について
ケース別コンテンツ